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テンダイウヤク [店雑記・Kのメモ]


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(写1)

天台烏薬
明日香の自然樹叢(注1)を調べていると
板蓋神社(いたぶきじんじゃ)の石段付近に
珍しいテンダイウヤクが自生していることが記されていました。

夏恵子は探しに明日香を訪れることにしました。
「明日香にテンダイウヤクを探しに行くのはわたしぐらいかしら」と思いながら、
「見つかりますように」と願いつつ、
「ね、さがし物を見つけに一緒にいこう」と、蛙の夏恵子を誘います。
家から30分ほどで明日香に着きますが、
「本当にあるの?」と小さなひき目で言います。
「さぁーね、三十五年ほど前の資料だから」というしかありません。

自生地とされているところは何度も足をはこんでいるところで、ひとコマとしてイメージできますが
そこにテンダイウヤクがあるのは図鑑の写真をコラージュしたものしか浮かびません。
コピーした資料をバッグにいれ、車で出発することにしました。

「夏恵ちゃん、ここ歩いたよね」とつぶやきながら、道を六回ほど折れると明日香に着きます。
そして、
「夏恵ちゃんも探して」と言いながら探すこと小一時間、向かいに住む方にも
たずねてみましたが、
「知らんな、気付かなかったな」で終わってしまい、
残念ながら幻のテンダイウヤクとなってしまいました。

疲れたのか、蛙の夏恵子はもうすやすやと、私の中で眠っていました。




テンダイウヤクはクスノキ科の低木で享保年間(1716~1736)に中国から不老長寿の霊薬として
渡来したと言われていますが、もともと自然に分布していた可能性もあるとされ、
奈良県下では五條、大淀、吉野、榛原地区に分布を見ることが記されています(注2)。

吉野宮滝近くの妹山の樹叢にも見られます。
妹山は国の天然記念物自然区に指定されており、貞観元年(859)より
神山として樹木の伐採を禁じたため、その影響下原始的な樹叢が残ったらしいです。

板蓋神社に自生していたテンダイウヤクが自然分布のものなのかどうかを知ることは
出来ませんが、明日香村の他の樹叢には見当たらず、謎ではあります。

また、『日本書紀』神武天皇の条、熊野から八咫烏に導かれ大宇陀(榛原に隣接)
吉野、阿太(五條東部)に行軍しますが、
新宮の徐福伝説から発し、奈良県下の分布地域とかさなるのは
「あらっ不思議」なのです。

近年、テンダイウヤクが肺癌の抑制効果があることがマウス実証されたり、
活性酸素消去作用が非常に強いことが実証報告(注3)されています。

もし、肺癌になればぜひ試してみたいものです。

(写1)『i日本の野生植物・木本1』平凡社 1991より加筆
(注1)『明日香村史』明日香村 1974
(注2)『吉野町史』吉野町 1972
(注3)『天台烏薬の活性酸素消去作用』 森 昭胤(もり あきたね)和歌山・新宮市HP   
『夏恵子のメモ』2007より


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