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Kのメモ dec 16,2010 [店雑記・Kのメモ]


phot 581.jpg
(注1)上-宮滝遺跡・下-栄山寺

栄山寺
実家のある五條に立派なものがひとつあります。
法隆寺の夢殿と比較される栄山寺の八角堂です。
私の実家からは3キロほど離れていますが
子供の頃よく遊びに行きました。

栄山寺は藤原南家の氏寺でもあり、八角堂は藤原仲麻呂が亡き父母のために創建したと伝えられ、
長子豊成が武智麻呂の影堂としたとされます。

でも、仲麻呂の歴史上のイメージは「逆賊人」で「ヒーロー」としては記されません。

そのようなことも少しは影響してか、静かな境内です。
剥げ落ちはしていますが、内陣に画かれた天平絵画にはタイムスリップさえ
感じられます。

この栄山寺は元、前山寺(さきやまてら)ともいわれ、前方に小高い山稜(△238m)が位置しています。

私は飛鳥の石造物「亀石」の方角がこの山稜に至り
寺の境内入口近くに、
飛鳥の酒船石の溝彫とよく似た石造物があったことが記されており(注2)興味を持ちました。

デザイナーでもあった松本清張さんは「点」と「線」を大事にされましたが
「点」と「点」を結び「線」を描くと新たなイメージが
膨らんできます。

境内下は吉野川が流れています。
音無川ともいわれ、弘法大師が川流の音がうるさく、筆を投げると
静まりかえったという伝説話があります。

私は「酒船石」を基点とするO線(岡の酒船石より)が
吉野の青根ヶ峰そして熊野、方や大官大寺、耳成山、藤原京中軸線を経て、
丹後半島の筒川、浦嶋子伝説の地に至ることから、

栄山寺の位置する景観と類似するところがこの線上に位置するイメージと重なるのでは、と思い描くと
吉野宮滝の吉野宮遺跡が浮かびました。

山から流れる四季の風は内陣をくぐり、川に消えていきます。

仲麻呂はこの地から青根ヶ峰を仰ぎ、イメージを描いていたのかも知れません。

もし、大和五條を訪ねるなら、まず栄山寺から吉野川上流、阿田に沿われるのが楽しいです。

吉野川で龍のように曲がりくねるところはこの二ヶ所ではないでしょうか。

(注1)国土地理院地形図、『五條』『新子』にイメージ加筆
(注2)『あすかの石造物』図録35 飛鳥資料館 2001
(参考文献)『藤原仲麻呂』人物叢書153 岸俊男  吉川弘文館 1959
『栄山寺』近畿古文化選書 田村吉永 河原書店 1948









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