Kのメモ dec 18,2010 [店雑記・Kのメモ]
宮滝・柴橋より吉野川下流を望む
水
栄山寺の下を流れる音無川(吉野川)は今は上流にダムが出来、
また大和平野への取水もあり水量は激変しています。
自然の中での進歩の許容がどこまで許されるのだろうか、と
つい考えさせられますが、景観が変わると歴史の一ページを
開くのに時間がかかるのは確かです。
約三百年前には今の水量の三倍はあったことを
本居宣長が吉野宮滝を訪れ『菅笠日記』に記しています。
宮滝には垂直落下する瀑布はありません。瀧は急流の水(はやせ)を表現していますが
岩の渦壷も露出し渦巻く流れ共々見ることはできません。
何年か前にカメラをぶら下げ初めて宮滝を訪ねました。
川に隣接し中荘小学校がありました。
運動場にいた若い先生に
「すみません。ちょっとお伺いしますが、児童生徒は今何人ですか」と尋ねると
「三十人です。一年生は今年はひとりです。もうすぐ廃校になります」と。
「宮跡の学校はないですよ。こんなにすばらしいところの学校は」と、話すと
「どっかから生徒集めてきてくださいよ」と。
つい「私では駄目?」といってしまったのですが
「もう少し若かったらね」と、たのしく返してくれました。
水量が減り、子供も減り、自然が変わり、ものは失せていきます。
でも、吉野から、青根ヶ峰から配される水は今も尽きることはありません。
吉野川逝く瀬の早み しましくも 淀むことなく ありこせぬかも
第二・一一九 弓削皇子
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