Kのメモ Apr 3,2011 [店雑記・Kのメモ]
(図1)
額田王-線上の歌1
謎の女性は謎の男性より魅力的で、
見え隠れするイメージのコラージュがとても楽しいものです。
そのような一人に額田王がいます。
万葉集の世界を知らなくて、額田王をイメージすることなどはとんでもないことですが、
かえって中途半端にその世界を知るより、
イメージの拡張があるかもしれないと思い描いています。
夏恵子が「えらい世界にはまったね」といいます。
「一線上にポツンと浮かんできたのだから」と返事し、
冷たいベッドに横になり足を曲げ伸ばしし
古代への扉の侵入を試みます。
歌を天上より見つめると「やっぱり」と思う線が描かれます。
(図1)は明日香のO点(酒船石遺跡)を中点とした万葉歌の第一・九と巻一・二〇です。
莫囂圓隣之大相七兄爪謁気吾瀬子之射立為兼五可新何本(1-9)
天皇(斉明)が紀の温泉に行かれた時、詠った歌で現在も多くの考察が行われている難訓歌です。
あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る(1-20)
天皇(天智)が蒲生野で狩をした時、詠った歌です。
味酒 三輪の山 あおによし 奈良の山の 山の際に い隠るまで 道の隈 い積るまでに
つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放けむ山を 情なく 雲の 隠さふべしや(1-17)
三輪山を しかも隠すか 雲だにも 情あらなも 隠さふべしや(1-18)
おそらくこの線上に隠れているだろうとイメージする三輪山の歌です。
謎めいた女性には魅惑的な素養がひそんでおり多くの人々を惑わします。
額田王も万葉集におめられた秀歌から発する魅惑的な残像を多くの人々の心の中に残してきました。
千年以上前の地上の光景はほとんどが失せ、多くはイメージでしかとらえることができませんが、
天上からの考察は時を意識することなく隠れたイメージをうつしてくれることもあります。
(図1)『電子国土』に加筆
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