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Kのメモ May 20,2011 [店雑記・Kのメモ]

phot 102.jpg
額田王-線上のゲシュタルト15

三輪山

額田王が近江国に行く時作る歌
味酒 三輪の山  あをによし 奈良の山の 山の際に い隠るまで
道の隈 い積るまでに つばらにも 見つつ行かむを 
しばしばも 見放けむ山を 情なく 雲の 隠さふべしや(1-17)
(大意)
三輪の山よ。奈良山の山の間に隠れてしまうまで、
道の多くの曲り角ごとに、
よくよく見て行こうと思う、
しばしば眺めやろうと思う、その山を、無常にも雲が繰り返し繰り返し
隠してよいものであろうか。

反歌
三輪山をしかも隠すか雲だにも情あらなも隠さふべしや(1-18)
(大意)
なつかしい三輪山をそのように隠すのか。せめて雲だけでも
やさしい情があって欲しい。そのように繰り返し隠すと
いうことがあるものか。


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(写1)

井戸王が和(こた)ふる歌
へそがたの林のさきの狭野榛の衣に着くなす目につくわが背(1-19)
(大意)
ヘソガタの林のとりつきに立つ野榛の色が、鮮やかに衣に着くように、
自分の目にくっきりとうつるわが背よ。

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額田王が飛鳥を離れ近江の大津宮に下る時の歌です。

一七、一八番歌はN線上に見えることを記しましたが、
三輪山を見るにいたりませんでした。

多くは山辺の道、奈良坂付近で三輪山を見て詠った歌とされますが、
谷馨さんは「見つついかむ」を「見放しけむ」と予想していると考え、
進発以前の詠歌とすべきだろう、と記されています。

T線上に鏡神社が近接し、そのポイントより難波宮へ補線(赤点線)を描くと
鏡王女が中大兄皇子と交わした相聞歌九一、九二番歌、そして
伊波瀬の森の一四一九番歌などが見えてきました。
 大島の嶺は高安山でしょう。

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この補線(赤点線)の延長上を覗くと、三輪山が見えてくるのです。
N線とのクロスポイント近くに大神神社があります。

やっと雲間に隠れていた三輪山に辿り着きました。
 
phot 103.jpg
(図1)

でもどうしてか、井戸王が詠った一九番歌がおぼろげなのです。
『記』の大物主神と活玉依毘売の神婚伝説から
「ヘソガタ」を単に「糸巻き」「三輪山」と解するべきでしょうか。


この一首は、
今案ふるに、和ふる歌に似ず。ただし、舊本この次に載す。故似になほここに載す。
と、後に記されています。

この記事をどのように解釈するか、で多くの論考がなされています。

私は三本の線の基点、中点となる酒船石遺跡に隠れているように思えるのです。



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(1-17・18・19)(大意)『万葉集』日本古典文学体系 岩波書店 1957より
(写1)『額田姫王』  「雲の隠さんとする三輪山(田辺幸雄撮影)」
谷馨 紀伊国屋書店 1967より
(図1)『国土電子ポータル』に加筆



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