Kのメモ JUL 29,2012

夏の桜

二週間ほど前に

桜のイメージが頭をよぎります。

「どうして桜なのよ」と、

窓辺の苔で被われた古樹をながめますが

蝉の鳴き声がひびくだけ。

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ふと、

明日香にあり伐採された『舟つなぎの桜』を

思い出します。

明日香の航空写真図を取り出し、

村の老人が教えてくれたそのポイントを覗きます。

『舟つなぎの桜』は岸辺、水辺にあって

舟をとめたとされる、大木、古樹の美しい桜を意味するようですが

各地にあります。

明日香の老人の話では、

古樹のあったあたりは沼地から田圃になったところで

牛がよくぬめり込んで苦労したようです。

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『和名類聚抄』で「左久良」と訓されているようです。

「左」には本来、呪術の意が含まれているようです（注1)。

かえこに

「暑いときに桜の勉強しなくても」と言われつつ、

「思いついたときに準備だけしておくのよ」と

出版されている「桜」の文献をさがします。

「あー」と、ため息。

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二日前に

シロバナサクラタデが咲きました。

「ちょっと早いんじゃない」と図鑑を見ると

八月から十一月と記されていました。

もう、六、七年前になりますが

『舟つなぎの桜』の地と、そう離れていない道路工事現場で

採取し持ち帰ったものです。

今はアプローチサイドに沿ってたくさん茂っています。

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断片的な白いイメージのなかで。

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(注1)『字統』白川 静　平凡社　2007

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