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Kのメモ APR 25,2014 [店雑記・Kのメモ]



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夏恵子の珍道中記

須弥山-10-2

小さな扇風機にあたり、
 
机に
乱雑に
積み重なった中古本の資料をベッドからながめながら、
「今日も暑かった。あつかった。エアコンがあると、、、」と思っていると睡魔がおそう。
 
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(写-1)

夏恵子がストーパの前に立った時。須弥山を意識せずにいられなかった。
「まさしく、須弥山界の世界じゃない」とあ然とした。
 
同時に珍石が重なり、異境の地に来たことが無駄でなかったことが実感として湧いて来た。
 「路子工が見たのもこれか、これに等しい物だったに違いない」と思うと
「マラ石」という言葉がいかに表面ぽく、人の心を得てないかがわかり、
案内板がうかんできた。

 
周囲を三度見てまわると、以前骨折した右足に少し怠さが感じはじめた。

「もう、見ることはない」と思うと、
去りがたい気持も湧いてきたが入口近くの博物館にたち寄り、
待たせていたタクシーに乗りホテルに向かった。

古いデジカメでおさめた画像をホテルのモニターで整理し、
写りが悪かったらもう一度訪れようか車中で迷っていると、
運転手の「アリガトウ。ツキマシタ」と言う声でふっ切れ、
帰国することにした。グッバイ ストーパ

「S子、ストーパ見にインドにいってきたの」と
S子にメールすると、

S子から「かえこ、お土産買って来たくれた?」

「うっかり、わすれてたわ。ごめん。ごめん。」

S子から
「ウソでしょ。忙しいんだからイイかげんにしてよ。レポート書けたの?」

「暑くて、あつくて。ヘバッてるの」


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(写-2)

インドのサンチーの第一塔は紀前一世紀頃の作とされている。
その南門❿に釈迦の伝記、前世物語などが中心に描き彫られたものがある。
その柱と梁の交わったところをよく見ると象と牛、馬が彫られているのがわかる。
そして牛の横に孔雀がいる。
そしてそれらを4頭の獅子が守護している。

須弥山界の贍部州(せんぶしゅう・インド)にある無熱悩池から発する河の口の動物たちである。

須弥山の世界からカイラス山、無熱悩池に至る。

このような須弥山界は奈良時代の仏像にも描かれており、
東大寺大仏の蓮花座⓫、二月堂十一面観音像光背⓬にある。

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これらにも逆台形の贍部州のなかに方形の無熱悩池が描かれ、
『大毘婆沙論』に記されているよう四方に注がれている。
大仏蓮花座に描かれた世界を詳しくみていくと、
その上部に七つの山脈が伏鉢状⓭に描かれており、上部に須弥山界をみることができる。

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この光景をもとにイメージを描くと、
伏鉢状の山脈の形こそ路子工が言った「能く山岳の形を構く」であったのでは
と思え、
珍石の
の頭部の伏鉢状と重なる。

「、、小なる才有り。能く須弥山の形を構く。、、、其れ臣を留めて用いたまはば、
国の為に利有りなむ。何ぞ空しく海の嶋に棄つるや」といふ。
其の辭を聴きて棄てず。仍りて須弥山の形及び呉橋を南庭に構けと令す。
時の人、其の人名付けて、路子工と
曰ふ。亦の名は芝耆摩呂。『紀』推古二十年条より

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ストーパの構造体の内容が知りたくなり調べる。

『ブッタ 大いなる旅』の「ストーパと仏舎利」で杉本氏は
ストーパのアンダの部分は卵(宇宙卵)を示しているとし、
神話の一例「太初において、無のみが存在していた。
それが展開し卵が生じた。
一年間横たわっていたが、二つに割れた。
卵殻の一つは銀色で大地、ほかは金色で天となった。
次に太陽が生まれた。其の時、騒々しい音声、生きもの、一切の欲望が生まれた」を紹介し、
ブッタの斜利が種子(ビージャ)と呼ばれたり
仏塔は水の泡、稲穂の積み重ね、母胎(ガルバ)、、などのような形体に
造られるべきだと言われることともつながっていると記している。
 
「ストーパの覆鉢部分は宇宙卵と解釈すれば、
フグリ山とのつながりもみえてくる。
フグリは陰嚢、睾丸(金玉)をあらわしている。

「石田氏がわらによ(藁積み)をイメージしたのも斜利のイメージがあったからかもしれない」
と夏恵子は思った。

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(図-1)

アンダの上部に平頭(ハミルカー)がある。
この形は㋑㋺㋩などのように多くの種類で構成されている。
その芯に傘竿が建てられ三重の傘蓋が付く。まさに須弥山界の原形とも見てとれる。
 寺院の塔㋥は平頭上を表現したものであり、円堂はストーパそのものを表現したものである。
 
塔の心礎に納められている舎利容器㋭は卵形を示し、ストーパのモデルでもある。




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(写-1)『飛鳥の寺と国分寺』岩波書店 1985より加筆
(写-2)
『世界美術16 インド』 講談社 1965より加筆
『お水取り』奈良国立博物館 2001より加筆
⓬⓭
『東大寺』奈良六大寺大観刊行会 岩波書店  1972より加筆
㋭『飛鳥展 謎をさぐる「飛鳥寺の舎利」朝日新聞社 1972より加筆
(図-1)
『ブッタ 大いなる旅』「ストーパと仏舎利」杉本卓洲 1998より加筆














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