SSブログ

Kのメモ JUN 16,2014 [店雑記・Kのメモ]


heartmark.jpg

飛鳥のハート4-絵解き1

やっと紺色の皿一面に描かれた絵解き。
はっきりした痕跡のない絵柄を絵解きするのは大変難しい。
どうしても、既存のイメージ、概念が膨らみ、ゲシュタルトの世界に落ち入る。
頭を白いキャンバスにしたてイメージを描くことは不可能かもしれない。
眠そうにしてるけれど、かえこにも手伝ってもらうことにした。
................................................

『報告書』に掲載されいる絵柄の部分拡大写真を元にイメージを追ってみる。
濃いところは皿のコバルト色の部分、白色かかっているところは、
何かで処理、加工された部分。
つよい光りで透かしみると絵柄が浮かんでくるようだ。

sarae-3.jpg
(写-1)
6・7の重なり区分に微かにハートがうかんでみえるが他ははっきりしない。

sarae-4.jpg
(絵-1)

『報告書』に絵解きした図が掲載されている(絵-1)。

この絵柄の謎解きは発掘の担当所員であった、森浩一氏が担当されたようだ。
「、、本来図文を復元するのは相当に困難であり、そのため図文の断定をひかえる意味もあって、
美術史での慣用語の使用を極力さけることにして、
形状や大きさの観察を進めよう」と前文に記している。

以下『報告書』の各区分のところの解説を記しながら追ってみる。
1区分「、、羽根をたたみ、二本の脚もはっきりしていて、頭を上に上げている。
その口には、鳥の大きさとほぼ同じ大きさのものをくわえており、その形は口にくわえているところより
下では環状になり、その下に何かが垂れている。輪にした帯状のもののようである。
幅の広いリボンのようでもあるが、中央にくもり部分があって2本を表現しているようである。」
(参-1)
...............................

掲載されている区分拡大写真(写-2)からは「リボン」というイメージはなかなか湧いてこない。
おそらく、古代ペルシア系の歴史・美術史の文献資料がベースにあり、
「帝王狩猟文皿(写図-1A)」に描かれているような
特徴的なリボンのイメージと結びつき、リボンと記したものと推測する。

sarae1n-3n.jpg
(写-2)

sarae1n-6.jpg
(絵-1-1区分拡大図)
............................................................

「リボンが二本表現しているようだ」と記しているが、一本にもみえる。
おそらく(写図-1A)のようなイメージからの推測と思える。

くちばし右のものを「環状、輪にした帯状のもの」とみたてているが、
そのように見たてると、くちばし上にもリング状のようなものがみえてくる。
また、「なにかが垂れている」とする何かを長く描いているが短かくみえる。
......................................
ginsara2n.jpg
(写-3))
ペルシア・ササン朝時代の工芸品によく似た絵柄の銀製皿(写-3)がある。
ハートの環状模様のなかに鳥が描かれ、外に八つの文様が環状にむすばれ描かれている。
皿の1区分に描かれている鳥と非常に似ている。
これを参考にすれば皿の周囲に描かれた絵は八つの構成で描かれているのかもしれない。

kan0615.jpg
(写図-1)

上記の資料を参考にイメージしてみる。

くちばしより左の絵はたなびくリボン。

くちばしより右の環状のような絵は(写図-1B)のペルセポリスの石城で目にするシンボルで
上空に飛翔するアフラ・マズダ神が
左右にひろげた翼の環(太陽だとされており、輪、王冠、円盤などとも記されている)上に
人身として描かれている。

(写図-1C)は岩壁に彫られたササン朝アルダシール一世の叙任式(224年)の模様の図。
右がアルダシール一世、左がオールムズド神(古代ペルシアのアフダ・マズダ神と同じ)、
オールムズド神から王権のシンボルの環(輪ともいう)を与えられるアルダシール一世の姿が画かれている。

おそらく
(写図-1B)に描かれた環が変容していったものとイメージする。
...........................................

「新沢126号墳」の木棺にそえられるようなかたちで熨斗(うつと)が出土している(写図-1A)。
熨斗はアイロンと解されているが環のイメージがふくらんでくる。
「熨」の字源を調べると
上から下へじわじわ押さえる。威(上から下のものをおさえつける)と同系と記され、
「尉」の字形のうちにすでに「火」が含んでいて、それがのち示形となり、
改めて「火」が加えられたとも記されている。

アルダシー一世の馬の馬蹄に押さえつけられているのはパルティア最後の王アルタバヌス五世、
オールムズド神の馬の馬蹄に押さえつけられているのは
聖火教の悪神アハリーマンともされている(写図-1C)。

環(火)をもって押さえつける形が熨斗に変化していったのでは、と思えてくる。

狩猟する王の愛馬の頭上に目印の環が描かれている(写図-1A)。

1区分の鳥の絵柄は王権(王位)を象徴する図かもしれない。
...................

「かえちゃん、ちっとも手伝ってくれないじゃないの」
かえこ「眠いし、わかんないもん」
 
kaeko0516.jpg
 


.....................................................................
(写-1・2)(絵-1)(絵-1-1区分拡大図)(参-1)
『新沢千塚 126号墳(報告書)』橿原考古学研究所 1977より加筆
(写-3)『ペルシアの芸術』深井晋司 創元社 1956より加筆
(写図-1A)『芸術新潮』「古代ペルシア秘宝展 贋作の証明」田辺勝美 新潮社 1982より加筆
(写図-1B)『イランの古代文化』ロマン・ギルシュマン 平凡社 1977より加筆
(写図-1C)『大帝国ペルシア』ライフ人類100万年 タイムライフブックス 1975より加筆
(写図-1D)『海を越えたはるかな交流』橿原考古学研究所付属博物館 2006加筆

コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

Kのメモ JUN 13,2014Kのメモ JUN 17,2014 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。