Kのメモ SEP 15,2014 [店雑記・Kのメモ]
九月の夢
夏恵子は夕食をすませると、階段を下り自分の部屋に戻った。
二三日前に感じた足の痛みも和らいでいて、階段の上がり下りも気にならなかった。
肉体的な作業の疲れのせいか、ベッドにそのまま横たわると
睡魔におそわれた。
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いつものとおり未明に目を覚ましベッドから体を起こすと、
布団の合間から何か小さなものがコロッと落ちた。
夏恵子は目をこすりながら、落ちたものに目を近づけると、
雨蛙だった。
「どうしてベッドなどに、」と一瞬の驚きと共に、
手のひらにのせたが動かなかった。
あたたかさを残しながら目を閉じ、手足をすぼめたやさしい寝顔であった。
「わたしにピョンと飛び乗ったコココココかもしれない、、、」
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ベッドの下を覗き込むと、もう一匹、雨蛙がいた。
手のひらのものより少し大きめのもの。
「どうしてベッドの下などに、、」と思ったが、
乾いた体から、
「もしかしたら、いなくなったカエココココでは?」とも思った。
二匹の蛙を手にし、
「見つけられなくてごめんね」と、つぶやいた。
早朝、夏恵子は白いケント紙で小さなお棺を作り、
樅の木の下に葬った。
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未明、作業着姿の寝苦しさもかさなり、目をさまし「夢だったのかしら、、、」と、
ベッドのしたを見たが、何もなかった。
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