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Kのメモ MAR 17,2015 [店雑記・Kのメモ]


mark0316.jpg
南都・線と三角形-1

「二月堂のお水取りが済まないと本当の春が来ない」と
母が言っていたのを思い出しながら、、

早くまとめようと思いつつ、追えば追うほど深層を感じつつ、、

東大寺二月堂の修二会、お水取りの創始とされる実忠和尚のなかに
形を追います。

.............................

nigatudou0317-1.jpg

春をつげる行事の二月堂の修二会は、
なんと言っても暗闇の中の大松明の炎と火の粉の舞い、
そしてお水取り。
この行事を創始したのが実忠和尚です。

実忠和尚(726-809?)については、
東大寺の大学頭として多くの功績があったことが
『東大寺要録』に記されており、
(1)二月堂の創建。
(2)修二会の創始。
(3)南春日谷の堤や池の施工。
(4)頭塔(土塔)の建立。などがあげられます。

東大寺上院での実忠和尚の概要を図にします。

gaiyou0317-1.jpg
(図-1)
和尚いう言葉からイメージするのは頭をまるめ僧衣をまとった
日本的な顔立ですが、
『ペルシア文化渡来考(参-1)』には、
実忠を中世ペルシア語からǰud-čihr
ǰudジュドは「異なる」čihrチフルは「種族」より「異邦人」と解せると記し、
インドの事情に明るいイラン系の人物であることを
想わせる。と記しています(参-2)。

『東大寺縁起』の一幕に
実忠和尚(以後、実忠)が難波津の浜の
生身の十一面観音を
補陀落山から迎える情景が描かれています。
じっと見つめていると、首長のイメージがし、肌の白さを感じさせますが、
顔立まではわかりません。
jityu0315.jpg
(図-2)

ただ、業績からも解るように、
建築、土木等の技術を有していたことは間違いなく、
推古天皇二十年是歳に記されている白い斑のある田路子工(みちこのたくみ)
が須弥山と呉橋を造ったというイメージが浮かんできます。

....................................

『ペルシア文化渡来考』では、
お水取りの原形はイランのカナートにあることを記しています。
地下を辿りむすぶ水のラインに沿い
(1)(2)をベースにお水取りのライン(以下、Ⓢライン)を描きます。

omizutori0317.jpg
(図-3)

若狭の遠敷明神(若狭彦神社・若狭姫神社)と二月堂を線で結んだⓈラインを
さらに南に延長すると、観音峯岳、釈迦岳、涅槃岳、笠捨山など、
大峰山系の山々に沿うことが解ります。

この検証を『神々は眠る「熊野」を歩く』掲載の「熊野の道」地図に
Ⓢラインを重ねるとピタッと「大峰奥駈道」に沿うことも解ります。

kumanomiti0317.jpg
(図-4)

実忠は笠置山の洞窟において、
都率天の常念観音院で十一面悔過の行法が行われているのを観じ、
その後50年以上不断に修したことが記されています。
その悔過行法が以後も延々と続けられ
現在に至っているのが修二会です。

このような南都からの行法と山岳の道を辿るⓈラインには何か不思議さを感じ、
熊野川、那智に至ることからも、
このラインは実忠の意識の中にあったのではと思えてきます。

さらに、
二月堂域に勧請された神を調べると、
飯道神社は熊野本宮から分霊されたとする説があることが解ります。

また、
Ⓢラインは那智に至りますが、線上に沿い補陀洛山寺があります。

hodarakutera0317.jpg
(写-1)

観音の浄土は南方補陀洛浄土とされていることからも
このラインは実忠のなかで
描かれていたと推測してもおかしくはありません。


次回はもう少しⓈライン上を覗いてみます。
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(図-1)
『お水取り』奈良国立博物館 2001参考に記す
(参-1)
『ペルシア文化渡来考』伊藤義教 岩波書店 1980
(参-2)
調査から見つかった線刻された石の画面は『維摩経』の一場面、
維摩居士と文殊師利菩薩との問答の情景とされていますが、
大きな扇、いわゆるターラ・ヴリンタ(多蘿樹葉扇)を
携えているところなどから、著者が想ったこと。
(図-2)
『奈良六大寺大觀 東大寺』岩波書店 1972より加筆
(図-3)
国土院地図 GSI Mapsに加筆
(図-4)
『神々は眠る「熊野」を歩く』上島啓司 集英社 2009に加筆
(写-1)
『熊野高野 冥府の旅』栗田 勇 新潮社 1979より加筆







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