Kのメモ JUL 28,2015 [店雑記・Kのメモ]
2015夏のひかり-21
ヘクソカズラ
古道に側した石垣にヘクソカズラの花がさいています。
別名ヤイトバナ、サオトメバナともいいますが、
ヘクソカズラが一般に知れわたった名称かもしれません。
花がみんな散ってしまう前に、少し調べたいと思い、
数冊の本から、ヘクソカズラの名称を調べ、しおりにしてみました。
(図-1)
古名は①『出雲風土記』に「女青(カバネグサ)」としてでてくるようです。
そして、②『万葉集』の高宮王の一首(万16- 3855 )に、
「屎葛(クソカヅラ)」がでてきます。
③『和名抄』では「細子草」を「和名 久曽加豆良」としています。
そして、⑥鎌倉初期の『伊呂波字類抄』で、
頭に「へ」を付け「ヘクソカヅラ」としています。
以後、「「ヘクソカヅラ、ヘクソカズラ」として、
呼ばれるようになったようです。
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⑨『世界大百科事典』⑪『広辞苑』『植物の世界』、、などでは
「ヘクソカズラ」としてでてきますが、
⑩『日本の野生植物』では、ヤイトバナ属「ヤイトバナ」としてでてきます。
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臭く、異臭を発するので、このような名が付いたことは間違いありませんが、
臭さで負けてない植物は他に、
クマツヅラ科のクサギ、コクサギ、カリガソウなどもあるようですが、
「ヘクソ」という最高の表現をした、有縁はわかりません。
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『植物の世界』の「ヘクソカズラ」の項目で三宅慎也氏は
子供のころに花を鼻の上につけ、「天狗の鼻」と呼んで、
遊んだ記憶があることを記されています。(参-1)
花に唾をつけると、どこにもよくくっ付くとのこと、
試してみるとよく付き「おもしろい」。
固定観念にしばられない、子供の世界には、
「ヘ」であろうと、「クソ」であろうと、臭いがしようとも、
それ以上のイマジネーションの世界がふくらむようです。
きっと、花も喜んでいたかもしれません。
花が散る瞬間は子供がピョンと飛び下りるようにも、、。
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(図-1)
『語源辞典-植物』吉田金彦 編著 東京堂出版 2001
カバネグサのカバネは死臭を放つ屍の意であろう、と記されています。
『日本の野生植物 Ⅲ』平凡社 1981
『野草図鑑 1』長田武正 著 保育社 1984
学名・ラテン語名の訳はこの本より、
『万葉集 四』新潮社 1982
などより加筆
(参-1)
『植物の世界』週刊 朝日百科13 朝日新聞社 1994より
ラテン語属名・paederia L.は「汚物」の意味を表すとも記されています。
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