Kのメモ SEP 1,2011 [店雑記・Kのメモ]
(注1)
golden stamp-4
はじめてものを見た時、ひとは直感的なイメージが
脳裏に生まれます。
その人の過去に蓄積された多くの情報が呼びおこされ
そのものと結びつこうとします。
私は最初の結びつきを「イメージのつながり」として大事にしています。
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この金印が本物か偽物か?という論議があります。
私は本物でも偽物でも、どっちでもかまわなく
そのものの持つ形やイメージが
私とどのようにつながりをもつのか?が楽しく調べています。
黄金比の形もそのような直感的なイメージから興味をいだき
前記したような「志賀島」の島の形に至りました。
では金印にそのような黄金比のイメージが隠れているのか?知りたくなり
文献資料や博物館への問合せ、などから
やっと金印の形と寸法の関係を描くことができました。
寸法は岡崎 敬さんの1968年に発表された測定結果より、
図は大塚紀宣さんが2009年に発表されたマイクロスコープでの観察結果より
拝借しました。
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(写1)
(図A)
(図B)
(図C)
(図A)(図B)(図C)は(写1)の→の方向から見た図です。
寸法はmm単位、小数点二位を四捨五入しています(参1)。
印台の各辺の寸法は23.45, 23.54, 23.49, 23.41,23.47と微妙に異なり
カッコ寸法は平均値です。
印台の高さも辺部で8.74, 8.89, 9.06, 8.80, 8.87と異なり、
カッコ寸法は平均値です。
印台の高さと蛇鈕の高さの和が総高の寸法と違いますが
おそらく、総高の寸法は定盤での計測と推察します。
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(図A)より蛇鈕の形がほぼ黄金矩形におさまることがわかります。
また、(図C)より平面の形もほぼ黄金矩形におさまることがわかります。
そして、(図B)より蛇鈕の短辺の形がほぼ正方形であることもわかります。
これらの誤差は0.5mm内であり、
方形の印台の各辺の最大誤差0.13からも許容内では?とイメージします。
蛇鈕の形が黄金矩形におさまるとすれば、
そこに見えてくるのは黄金矩形のなかに生まれるΦ(ファイ)螺線の渦巻く世界です。
蛇がとぐろを巻くイメージへと膨らみます。
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(参1) 『金印研究論文集成』大谷光男(編者) 新人物往来社 1994
『「漢委奴国王」金印の測定』岡崎 敬 より抜粋
(図A,B,C) 『研究紀要』 福岡市博物館 第19号 2009
『マイクロスコープによる金印の表面観察とその検討』 大塚紀宣より加筆
大塚紀宣さんの研究はとても面白く、
発見から230年になり「やっと形にメスがはいっていく」と感激しました。
発掘された多くの遺物、出土品が古文献だけに頼らない視線に
少しだけ考古学、歴史学の垣根からの光を感じました。
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