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Kのメモ APR 8,2014 [店雑記・Kのメモ]



Cmark.jpg

夏恵子の珍道中記

石の表情-4
 
 夏恵子は珍石の大きさと特徴を知りたく、S子に運転と助手を頼み、
簡素で長いコンパス(
両脚器)
をつくり明日香に行った

Bjidousan.jpg

元は傍の地蔵さんの近くにあったともされているが、
移設されたとしても元のイメージをこわさず設置されたと推測の上でのことである。

S子に「こんなことだれもしてないんじゃない」と言われ、
少し焦る中「もう少し精密に計測すれば黄金比的なものがみえてくるかもしれないのに」と、
美しい角度で斜立していることを感じながらも計測を早々終え帰宅し、パソコンに入力した。
 
「S子、今日はありがとう。やっぱり親友だね」

hhyojyo1.jpg
 
新たな写真と計測図から、注視すると四段(白数字)からなる形成を見ることができた。
一段目の半球状の形体には縦に割れ目が入っていて、割れ目の筋は底面㋐まで走っている。
四段目に地面と接するところに波状のえぐり㋑がある。四段目と三段目の段差は先から奥に傾斜㋒している。

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 案内板には
「マラ石 maraishi stone」とタイトルがあり、
「明日香村の謎の石造物のひとつ。男性器を模したもので本来はまっすぐに立っていたとも言われる。
地元では飛鳥川をはさんだ対岸の丘陵をフグリ山と呼びマラ石と一対のものと考える説がある。
子孫繁栄や農耕信仰に関係した遺物とも考えることができよう」
記されている。
 
この説明は「マラ石 記事表」にも記した『古跡略考』の「不毛不熟」の伝承話から
「男性器を模した」と主観をまじえ、伝承話をもとに記していることがわかった。

謎の石造物としながら「マラ石」と称しているのは腑に落ちない。
 
「ペニスの表情」で記したとおり、
あきらかに陽石などの形と異なること、
一段目の半球体部分を亀頭と見なせば十分に頭を出していないこと、
頭部の割れ目は亀頭の割れ目とも見られているが、
下面にヒビが走っていることから、
後に作為的に彫られた可能性も否定することは出来ない。

「ちがう。頭部の割れ目は他に意味があるのかも?」
 
isi1.jpg

古い民家がある頃の珍石の写真を見つけ出し、並べてみると、
草むらから斜立する形体が見てとれ、
卑猥なイメージを助長させ対岸のフグリ山伝説と結びつけたとも考えられる。

Bisi2.jpg

珍石は、みる角度からも表情がかわる。
夏恵子はそのことを意識しパチッ、パチッとシャッターを押した。
円柱ではなく、どちらかというと先端にすぼむ角柱でもある。

多くの人は「マラ石」という固定観念につつまれ写しているのは惜しいと思った。


 高校生のとき珍石をポケッと見ていたら、
二人連れの若い男女に出合い「案内板の説明の誘いに惑わされず、自由にイメージしているの」と話すと、
イケメンの彼は「アザラシかもね」と楽しくイメージをふくらませていたことを思い出した。
 その時の夏恵子のイメージは「石のライオン」だった。


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写真資料
「1936年」『飛鳥随想』 石田茂作 学生社 1974より加筆
「1972年」『飛鳥展 そのの謎をさぐる』 朝日新聞社 1972より加筆
「1974年」『明日香村史』明日香村 1974より加筆




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