SSブログ

Kのメモ MAR 25,2015 [店雑記・Kのメモ]


mark0316.jpg
南都・線と三角形-4


実忠が修二会を修しているときのこと、
その初夜の終わりに神名帳を読み諸神を勧請した。
諸神はみな影臨し、先を争って副祐を授けたり守護をしたりしたが、
遠敷明神はいつも魚猟を喜び精進することが稀で、
このときもその行法の終わり頃に遅れてやってきた。
しかし、この行法を聞いて喜び、
閼伽の水をお堂のそばのどこそこに出したいと告げた。
すると黒白二羽の鵜がすぐに岩を割って地中から飛び出しそばの木に
とまったが、
そのふたつの跡から水が湧き出ていっぱいにたまった。
そこで石を組んで「閼伽井」となした。
水は澄んで旱ばつになっても涸れなかった。
 
かの明神は若狭の国遠敷郡にあってその国の人びとが尊敬し、
威神力をそなえていた。
社前の大川は水音も高く滔々と流れていたが、
その水を奉献したので河水がつきて急に流水がなくなった。
そこで世間では音無川と名付けた、〈云々〉。

こんなわけで、二月(旧暦)十二日の後夜に練行衆たちが堂を下って
その井戸のふちに集り、かの明神の在所に向って
井水をお祈りすると、加持力のおかげで
その水がいっぱいになる。
そのとき汲み取って香瓶に入れるが尽きることはない。

それ以来うけつがれてついに故事となり、
天平勝宝の時代から今日まで四百年になる。
数百年経つがその瓶内の香水は依然としてきよく澄み、
飲めば病気を除き、その身心が悩みから解放されること、
無熱池の八功徳水さながらである。

お水取りについて『東大寺要録(注-2)』に古い言い伝えとして上記の
ような談を載せていると『ペルシア文化渡来考(参-1)』は記しています。

...............................................

この記述を見ると、「かの明神の在所に向って」とありますが、
まさしく、方位を暗示してのことだと考え、
そのことを視野に入れ、再度ラインを精査します。


遠敷明神は小浜市の①若狭彦神社だとされています。

『ペルシア文化渡来考』には、
社史は一部失われており不明な点(注-1)がある。とし、
『若狭国官社私考・上』に『日本後紀』(817〜840)の所伝らしきものを載せ、
天長6年(829)和朝臣宅継を若狭国比古神の神主としたとあるが、
事実は百済の武寧王(523年没)の孫、斯我王(しがのきみ)の後裔。
斯我君は同盟の人質のような形で509年頃渡来した人で、
和氏が祖先を祀ったものと考えてよいと記しています。

神主についてはあまり考えなくてよいと思います。
..................................

①若狭彦神社は元、②鵜の瀬の白石神社地にあったとされ、
後世に若狭彦神社、若狭姫神社に分祀しますが、
今も総称として若狭彦神社と呼ばれています。

鵜の瀬から閼伽井に送る「お水送りの神事」は、
若狭彦神社の神宮寺、③若狭神宮寺が現在行っていると記されています。

良弁は小浜の白石で生まれ育ったとする伝承が白石寺にあるようですが、
実忠は良弁の弟子とされることからも、遠敷明神のシナリオが
描かれたのかもしれません。

.................................

「かの明神の在所」地点を決めようとしますが、
①②③の地点が縦列の位置にありません。
よって、①②③より、閼伽井屋と二月堂の二点を結ぶラインを
計6線描いてみました。

①若狭彦神社からはⓈ-B黒・Ⓢ-LB水色、
②鵜の瀬(お水送りの神事の場所)・白石寺からはⓈ-R赤・Ⓢ-V紫、
③神宮寺からはⓈ-G緑・Ⓢ-B青とします。

omizutori0324-1.jpg
(図-1)
コマ1、①③の地点、コマ2は②の地点を記します。

コマ3は閼伽井屋と二月堂の地点です。

コマ4は大神神社の地点です。
三輪山、神社を避けていることが解ります。

最初に描いたラインより幅を有しますが、当初描いたイメージはそう崩れる
こともありません。

ラインの幅に薄く影を描きましたがこの範囲内に絞り、
イメージを膨らませていけばと考えます。


《つづく》


.............................................

(参-1)『ペルシア文化渡来考』伊藤義教 岩波書店 1980より
(注-1)この部分は『日本後紀』は欠落しているようです。
(注-2)嘉承元年(1106)-長承3年(1134)の間に成立
(図-1)地理院GSI Mapsに加筆




コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

Kのメモ MAR 20,2015Kのメモ MAR 26,2015 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。